今回は、「チームパフォーマンスを引き出すEI(感情的知性)の役割」について、解説します。
感情的知性とは
感情的知性とは、心の知能指数とも言われ、
心理学者のダニエル・ゴールマンが、Emotinal Intelligence(邦訳 「EQ こころの知能指数」)という書籍の中で、個人の感情的感性(EI)という概念を提唱したことで有名です。
彼は、書籍の中で、
「EIが高い人間は、みずからの感情の変化を意識し、これを制御できる。そしてこのような意識と制御は自己の内面にも他者の内面にも向けられる」
-Emotinal Intelligence(邦訳 「EQ こころの知能指数」)-
と、EIが高い人間の特徴を説明しています。
噛み砕くと、高い感情的知性を持っていると、
自分の感情を認識・理解ができるようになり、
感情を適切にコントロールし、表現することが可能だということです。
また、
高い感情的知性は、他人の感情や行動を読むことができるので、
必要に応じて距離を保つことが可能で、周りの感情に流される可能性が低くなります。
要は、
常に落ち着き、明快な状況で物事を判断することができるので、
感覚的な反応に依存するのではなく、
状況に合わせ意図的かつ最適な対応ができるようになるということです。
チームのEI(感情的知性)とは
チームには、チームのEI(感情的知性)が、存在します。
ニューハンプシャー大学のバネッサ・アーク・ドリュスカット准教授と
スティーブン・B・ウルフ氏の論文「チームEIの強化法」で、
チームの感情的知性を高める方法として、
チームのEIの「規範」を築くことを薦めています。
さらに、「チームの自己評価の場」と「フィードバックの場」をつくること
が重要だと説明しています。
チームの感情的知性は、チームを効果的に機能する力となります。
「波長の食い違い」など互いの感情や懸念に耳を傾けるようになるので、
メンバー間の士気が高まり、惜しみなく協力する気持ちが強まります。
つまり、
チームの感情的知性は、他のメンバーの気持ちや行動に寄り添い、協調するスキルとして、
チームパフォーマンスを最大化させる上で、不可欠なスキルとも言えます。
感情的知性が優れたチームを作るための5つの方法
感情的知性が優れたチームの作るための方法を今回5つ紹介します。
(1)感情的知性の高いリーダーを任命する
【感情的知性の高いリーダーの資質】
- 自分を自覚し、自分の強みと弱みを理解し、感情を知ることができる
- 落ち着きを保つことができる
- 自分の考えを明確に表現できる
- 周りに何が起こっているかを認識できる
- 対立を処理し、解決を提供できる
感情的知性に優れたメンバーがリーダーは、チームメンバーからリスペクトされるので、
彼らの感情的知性の成長を促すことが可能です。
(2)メンバーのモチベーションを上げる
チームで協調して行動することが、
メンバーの生活にどのような恩恵をもたらすかを伝え、
メンバー各自のモチベーションを上げます。
チーム活動がメンバー自身にとって意味のあるものであれば、
メンバーは情熱的になり、チームの目的をより受け入れる傾向になります。
(3)チームに実践トレーニングを導入する
感情的知性を発達させる実践トレーニングはあります。
チームメンバーが、お互いの精神的な習慣やパターンをよりよく理解できるようになる
グループワークを通し、メンバー間の信頼関係を高め、
チームの帰属意識を引き出していきます。
(4)ストレスが溜まらない環境をつくる
チームメンバーに自分の気持ちを知ってもらうだけでなく、
気持ちを表現させる機会をつくります。
自分の今の気持ちをセルフワークで書き留めたり、
今どんな壁に遭遇しているかをお互いに聞き合う1on1コーチングが有効です。
また、チームメンバーには最適な休憩を与え、充実した楽しい時間を過ごし、
ストレスのない心理的環境を作り出すことも重要です。
(5)衝突時に最適に対処する規範をつくる
チームメンバーの衝突に対する最適な対処方法の規範を築きます。
一例として、、、
衝突が決して個人的なものにならないように、
周りのチームメンバーにも参加してもらい、お互いの言い分を聞く時間を与えます。
また1人が話している時は、周りのメンバー全員は、
その人の話を真剣に聞けるような環境をつくることが重要です。
感情的知性の優れたチームは、健全な方法で衝突に対処する方法を知っています。
そもそも衝突を通して、個人やチーマの成長になることを知っているからです。
まとめ
チームパフォーマンスを引き出すEI(感情的知性)の役割
チームの感情的知性は、他のメンバーの気持ちや行動に寄り添い、協調を促進させる
チームパフォーマンスを最大化させる上で、不可欠なスキル
カーネギー工科大学のリサーチによると、
財政的成功の85%は、人格、コミュニケーション力、交渉力、リーダーシップ能力が要因で、
わずか15%が、技術的能力に起因するというデータがあります。
近年では、アメリカの企業では、学力が高く学校の成績が良い人よりも、
感情的知性に優れた人を待遇する傾向が高いとも言われます。
このように、ビジネスの分野でもチームの感情的知性の役割は、最重要視されています。