ここでは、ピーター・センゲ教授が提唱した「学習する組織」を題材に、
「学習型チームに不可欠な5つの要素」を2回に分けてお伝えします。

今回は、その全体像と組織のリーダーとしての役割についてです。

ピーター・センゲの提唱する「学習する組織」

マサチューセッツ工科大学のピーター・センゲ教授(Peter M, Senge)が、1990年に「The Fifth Discipline」の中で、新時代を生き抜く最強の組織は『学習する組織(ラーニング・オーガニゼーション)』であることを、その組織に必要な要素と共に提唱し、世界に広まりました。

ピーター・センゲ教授は、「学習する組織」について、

「 人々がたゆみなく能力を伸ばし、心から望む結果を実現しうる組織、革新的で発展的な思考パターンが育まれる組織、共通の目標に向かって自由にはばたく組織、共同して学ぶ方法をたえず学びつづける組織である 」『最強組織の法則』より

と、定義しています。
さらに、ロイヤル・ダッチ・シェルの企画部長のアリー・デ・ジウスは、「学習する組織」を、

「競争相手より早く学べる能力、それが競争力を維持する唯一の鍵である」

と語っています。

ロイヤル・ダッチ・シェルとは、オランダ本社の世界最大規模の石油会社です。

さて、この「学習する組織」という組織モデルは、従来の権威主義的な組織(「管理する組織」)に対する新しい新時代の組織モデルとして、今世界的に注目されている組織モデルです。

管理する組織とは、『効率』指向なわけです。
マニュアルの上に徹底的に生産効率を高めていくための組織です。

また、この従来の「管理する組織」の象徴として、強力なリーダーが存在します。
カリスマ性を持った強力なリーダーは、組織を活性化させる上で高い効果を発揮できますが、
リーダーが不在になったとき、その組織が、機能不全になることは多くが知られています。

なぜなら、組織を動かしているのは、リーダーであり、マニュアルだからです。
そこに全ての責任があるからなんです。

それに対して、この「学習する組織」とは、
変化の早い状況下の中で、自らで、即座に問題発見・解決
に変化変容しいく組織と言えます。

この自らで、即座に問題発見・解決に変化変容しいくというところがポイントで、
組織自体に、「主体性」があるということなんです。

「学習する組織」とは「主体性のある組織」とも言えます。

「学習する組織」の5つの要素

「学習する組織」を育てる上の不可欠な要素として、
センゲ教授は、5つの構成技術(ディシプリン)を示しました。

  1. システム思考(System thinking)
    ビジネスにおける構造的相互作用を把握する能力
  2. 自己マスタリー(Personal mastery)
    個人が明確な目標・目的を持ち、それを更に高いレベルまで導いていく
  3. メンタル・モデルの克服(Mental models)
    個々人がそれぞれに抱えている固定的なイメージや考え方を必要に応じて変えていく
  4. 共有できるビジョンの構築(Shared vision)
    個人と組織のビジョンに整合性を持たせ、誰もが共感・共有されるビジョンを構築する
  5. チーム単位での学習(Team learning)
    基本的な単位はチームとなるので、チームで学習が出来るようなスキルと場を養う

細かい解説は、後半の記事で解説します。

「学習するチーム」のリーダーの役割

「学習する組織」に必要不可欠な5つの要素を、チームに浸透させていくためには、チームのリーダーであるコーチの役割が、とても重要です。

これまでのリーダー像は、神話的リーダー像が一般的で、人々の視点は、組織力や共同学習になく、切迫した事態やカリスマ的英雄のほうへ強く注がれる時代でした。これは人々すなわち、チームのメンバーの関わり方が、受け身だった時代の縮図です。

「学習する組織」では、新たなリーダーシップ観を求められています。

センゲ教授は、このリーダーシップ観について

「ラーニング・オーガーニゼーションにおける新しいリーダーシップ観は、より緻密でかつ重要な役割を中心に据えている。ラーニング・オーガニゼーションにおいて、リーダーとは設計者であり、給仕役であり、かつ教師である。」

と述べています。

つまり、「学習する組織」のリーダーとは、「組織が学習する」ことに対しての「責任」があり、「学習する組織」のリーダーとして、重要な「設計者」としての位置づけられています。

「学習する組織」のリーダーとは、設計者

「設計者」とは裏方であり、称賛されることの少ない役割です。
「船の航海」に例えると、多くは「船長」が、表舞台でスポットライトを浴びますが、船の「設計者」は、あまり人に知られません。

しかし、船が設計され存在しなければ航海は成立しないように、学習する組織が設計されなければ「学習する組織」も存在しません。

また、航海に出た船が、荒波を乗り越えるのも、沈没するのも、その船の設計の責任でもあるわけです。設計者の役割は、「学習する組織」をつくっていく上で、とても重要な役割と言えます。

設計者とは、ことばを変えると、デザイナーです。
つまり、「学習する組織」のリーダーは、優秀なデザイン思考が重要となります。

まとめ

「学習型チーム」とは

  • 変化の早い状況下の中で、自らで即座に問題発見・解決に変化変容しいくチーム
  • 「主体性」のあるチーム

「学習型チーム」をつくるリーダーの役割

  • 「学習型チーム」をつくるリーダーはチームの設計者であり、給仕役であり、かつ教師
  • 「学習型チーム」をつくるリーダーは優秀なデザイン思考が不可欠。