集団での意思決定には、集団的浅慮など、良くも悪くも様々な問題が発生する可能性を含みます。では、もし、チームで決定したことが、途中間違っていたと判明した場合、直ちにストップかけたり、撤回することはできるのでしょうか?
例え、間違っていても引き返せない心理的トリガー
答えは、多くの人が撤回出来ません。それは、意思決定から行動に至るまでにかかった労力を無駄にしたくない、自分たちの意思決定、行動判断が間違っていたと認めることへの抵抗から、決定した事柄を覆せない心理状態が働くからと言われています。この心理状態を、「心理的拘泥現象」と言います。
例えば、チームの勝利のために、強いフィジカルトレーニングの導入が必要だとチームでの意思決定の結果、決まったとします。ところが、ハードなフィジカルトレーニングの導入から半年経過しても、思っていたほどのチームパフォーマンスは上がりません。もちろん、ここでトレーニングを止めるという選択肢もありますが、そうするとこれまで費やした時間と労力をドブに捨てることになってしまいます。しかも、このトレーニング導入に関して、キャプテンが一番賛成していたため、中止に持っていくことは、キャプテンの顔に泥を塗ることにもなるし、チームのモチベーションをさらに下げかねません。そんなわけで、トレーニングは続行され、見事にチームパフォーマンスと結果に見放され、最悪な結果となる年を過ごすハメになることもあるのです。
これは心理的拘泥現象の典型的な例と言えます。
では、誤った意思決定をチームでしないための方法は、ないのでしょうか?
悪魔の擁護者をつくる
チームが同じ方向を向いた中で意思決定をしていくと、集団的浅慮が進み、客観的な視野を持つことができずに、このような事態を招くこともあります。そうならないための方法として、チームで意思決定する際に、メンバーに「悪魔の擁護者」という役割を与え、討論を進める方法があります。
これは、「悪魔の擁護者」の役割としてメンバーの一人が、あえて、反対意見を述べていくというもので、そうすることで、同調圧力が解け、他のメンバーも遠慮なく、意見が言えるようになります。様々な角度からの意見を引き出すことで、より慎重な決定ができるようになります。