「集団規範」とは、集団の中で共有されている価値や行動の判断基準のことを言います。
集団において、グループ独自のルールや文化、価値観があることは少なくありませんが、このような集団規範はどのようにしてつくられるのでしょうか?
シェリフの集団規範が生成される過程検証実験
アメリカの社会心理学者ムザファー・シェリフは、集団の中で、個人の判断がどのような影響を及ぼすか、という実験を行いました。
「光点の自動運動」を利用した実験過程
● 検証1/個人編
- 暗室に1人だけ被験者を入れる
- 暗闇の中で点状の光を見せる
- 被験者に光がどれほど(何インチ)動いたかを、報告してもらう
● 検証2/集団編
- 暗室に3~4人の被験者を入れる
- 暗闇の中で点状の光を見せる
- 被験者に光がどれほど(何インチ)動いたかを、順番に口頭で報告してもらう
- 報告は周りの被験者に聞こえるように行う
【検証結果】
個別実験の時は、バラバラな回答でしたが、集団実験では、報告を重ねるごとに、バラバラであった各々の報告の幅が小さくなり、全員の答えが次第に近づき、最終的には一定の範囲内に収まるようになったということでした。
実は、、、
この実験での光の動いた距離ですが、動かしていなく、移動距離は実際は0(ゼロ)でした。つまり、動いたように見えるのは、ただの錯覚だったということです。
他の人の影響により、集団規範がつくられる
この実験から、本来は、バラバラであるはずの個人の考えが、集団の中に入ると、他者の行為に相互に影響を受け合い、次第に統一されていくことを裏づける検証実験となりました。
こうした集団規範は、所属メンバーの価値観に左右されます。
例えば、「社会で活躍するためには、主体性が大切」と考えるメンバーの多い集団は、自分で物事を考え、主体的に行動を重ねることに対して強い集団規範が出来やすく、同じ集団のメンバーに対しても、その規範に従わせようとする力が潜在的に働きます。
集団規範は、良くも悪くも集団に大きな影響を及ぼしますので、チームを組み立ていく上で、チームにどのような価値基準を持たせたいかをデザインしておくことが、とても重要となります。