チームということばは、「tug(引っ張る)」が変化してteamになったと言われています。
さて、メンバーを引っ張ってくれるものとは、一体何でしょう?

ずばり、この場合は、チームの「共通の目的」と言えます。
ここでは、共通の目的を持った2人以上のメンバーがいる集団をチームと呼びます。
企業内の部署、プロジェクトチーム、中学や高校の部活、大学のゼミやサークル、地域のコミュニティも全てチーム、家族、恋人もある種チームとも言えますね。

つまり、「共通の目的」は、チームを最適に機能する上で必須条件で、行動の成否を決めるチームにとって最も大事な要素なんです。

ここでは、効果的な目的設定方法を解説します。

目標達成と目標設定を混同しない。

多くの人が「目標達成をすることが何よりも重要だ」と言って、立てた目標をチーム一丸となって達成するためにひたすらに行動を重ねる、、、。

確かにとても大事です。

しかし、時として、チームが停滞し機能しない。
そんな現状も、よく耳にします。

一体何が原因なんでしょうか?

それは、「目標には、その場その場で最適に機能する効果がある」からです。
チームが機能しない理由は、達成できないチームメンバーが悪いのではなく、目標設定が、機能不全を引き起こしているということなんです。

「どうすれば目標を達成できるか?」を考える前に、「どんな目標を設定するのが最適か?」ということに力を注いでみましょう。

私たち日本の教育社会では、勉強でテストで高得点を取ることがいいとされてきました。
同様にスポーツの世界でも、高い順位を取ることが素晴らしいとされてきました。

これらの与えられた目標達成に対して競争に小さい頃から慣れ親しんできた我々にとっては、その場にあった目標設定をすることは、実はあまり慣れていないのが現状なんです。

チームを、より最適な行動を引き出していく上には、何よりもその前の最適な目標設定が不可欠です。常日頃から、この目標は最適な目標設定なのか、強く意識することからはじめてみましょう。

目標は3つの視点で考える

A)チームビルディングのノウハウと知識を、分かりやすい事例と学術背景を交えた正しい記事として、情報提供する
B)1日50,000pvのブログにする
C)世界をワンチームにする

さて、これら3つの目標のうち、どの目標がいいのでしょうか?

行動レベルの目標設定

A)の目標は、行動レベルの目標設定と言います。

行動レベルの目標設定とは、チームメンバーが具体的に取り組むべき行動の方向性を示したものです。この場合は、「チームビルディングのノウハウを事例と学術背景を交えた、分かりやすく正しい記事を提供する」という行動を起こすそのものが、目標となります。

成果レベルの目標設定

B)の目標は、成果レベルの目標設定と言います。

成果レベルの目標設定では、チームとして手に入れるべき具体的な成果を示したものです。この場合は、「1日50,000pvのブログにする」という分かりやすく数値化されたものが、目標となります。

意義レベルの目標設定

C)の目標は、意義レベルの目標設定と言います。

意義レベルの目標設定では、最終的に実現したい抽象的な状態や影響を示したものです。この場合は、「世界をワンチームにする」となります。

もちろん、これらの目標は、一概にどれが良い、悪いというのではなく、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、今のチームに合った最適な目標を設定することが、重要と言われています。では、3つの目標それぞれの特徴とメリット・デメリットをみていきましょう。

3つの目標の特徴とメリット・デメリット

行動レベルの目標設定は、「行動」を明確にしやすい

行動レベルの目標設定の特徴として、チームメンバーが自らの取るべき行動を明確しやすいというメリットがあります。

この場合、「チームビルディングのノウハウを事例と学術背景を交えた、分かりやすく正しい記事を提供する」という具体的な目標を設定しています。
つまりチームメンバーたちは、その目標を達成するために、世の中の成功したチームの事例について調査を重ねたり、チームビルディングのノウハウや科学的根拠を分かりやすくイラストや写真で表現するためにいろんな過程を用いたり、といった具体的な行動をすぐに起こすことができます。

意義レベルの目標設定は、「行動」を明確にしにくい

逆に、意義レベルの目標設定では、チームメンバーが自らの取るべき行動を明確にしにくいというデメリットがあります。

「世界をワンチームにする」という目標設定に対して、そのためにどんな行動を起こしたらいいかを明確な行動にして落とせるメンバーは、多くないかもしれませんね。

では、意義レベルの目標設定における大きなメリットとは何でしょう?

意義レベルの目標設定は、「ブレイクスルー」が起きやすい

意義レベルの目標設定のメリットは、チームに「ブレイクスルー」が起きやすいという点です。

「世界をワンチームにする」という意義レベルの目標設定があることによって、メンバーの思考の枠が最大限に広げることができるので、「いろんな人が読んでもわかるような記事を書こう」「なぜチームを最適に機能させるのに、チームビルディングと心理学が必要かを『はじめに』でしっかり伝えよう」「問題解決だけでなく、用語集を載せて逆引きができるようにしよう」などコンテンツアイデアを出すことができました。

同様に先程の行動レベルの目標設定では、どうでしょう?

行動レベルの目標設定は、「ブレイクスルー」が起きにくい

逆に、チームメンバーからブレイクスルーを起こすようなアイデアは生まれにくいと言えます。

「チームビルディングのノウハウを事例と学術背景を交えた、分かりやすく正しい記事を提供する」の行動目標からは、その行動目標以外の行動は生まれにくいはずですよね。

成果レベルの目標設定は、「行動」も「ブレイクスルー」も中レベル

成果レベルの目標設定は、行動の起こしやすさも、ブレイクスルーのしやすさも、行動レベルの目標設定と意義レベルの目標設定との中間レベルと言えますね。

チームに最適な目標設定を見極める方法

チームの最適な目標設定は、チームメンバーの構成力、思考力、行動力によって変わります。

チームメンバーが自ら動くことができないのであれば、行動レベルで目標設定しなければ、パフォーマンスには繋がりません。場合によっては、「何分以内にこん行動を完了させよう」などより具体的な行動マニュアルまで、落とし込んで行動を促すことがその時のパフォーマンスを最大に引き出す場合もあります。

一方で、メンバーが自ら考え動くことができるのあれば、意義レベルや成果レベルで目標設定した方が、パフォーマンスは高まりやすくなります。

それは、現場において、その場その場に応じた臨機応変で柔軟な対応が生まれる可能性があるからです。

まとめ

チームのパフォーマンスを最大化するためには、目標を3つの視点から考え、最適な目標をチーム共通として設定することがポイントです。また、どの抽象レベルで目標設定するかは、チームメンバーの構成力、思考力、行動力によって変わるため、メンバーの能力レベルを見極めが重要です。

ぜひ、その時・その場所・その思考レベルに合わせ、チームパフォーマンスを最大化に導く、最適な目標設定をしてみましょう。