今回は、「チームとは何か?」というテーマで、
組織行動学という学問では、
どのように定義されているか解説をしたます。
組織行動学とは
組織行動学とは何でしょうか?
組織行動学とは、
組織において、組織の生産性や業績に影響を及ぼす個人行動や、集団行動、
そして組織そのものの行動を体系的に研究する分野として定義されています。
この組織行動に関する研究においては、心理学にとどまらず、
社会学・文化人類学・経営学・経済学・政治学等、
人間の行動の原則や要因やメカニズムを周辺諸科学の知見を、
積極的に活用することから、ビジネススクールでも扱われる学問です。
また、この組織行動に関する研究領域は、次の3つの領域に分けられます。
- 個人行動に関する領域
- 集団行動(個人の集合)に関する領域
- 組織行動(集団の集合)に関する領域
個人行動に関する領域
個人行動に関する領域においては、組織の中で働く個人の行動や態度が、職務満足度や離職、生産性に対してどのように影響しているかを研究します。
分析レベル
- 個人レベル
影響を与えた学問領域
- 心理学
代表的なテーマ
- 個人の生物学的特徴
- パーソナリティ認知
- 学習
- モチベーション
- 職務満足
- 意思決定
- 従業員の選抜
集団行動(個人の集合)に関する領域
集団行動に関する領域においては、公式・非公式の集団そのものに対する研究から、集団を構成しているメンバーの満足と集団の生産性、さらにその集団内で働く個人に対してどのように影響を与えるかを研究しています。
分析レベル
- 集団レベル
影響を与えた学問領域
- 社会学
- 社会心理学
代表的なテーマ
- グループダイナミクス
- ワークチーム
- リーダーシップ
- コミュニケーション
- 権力(パワー)
- コンフリクト
組織行動(集団の集合)に関する領域
組織行動に関する領域では、組織構造や組織文化が組織の業績に対してどのように影響しているかを研究しています。
分析レベル
- 組織レベル
影響を与えた学問領域
- 社会学
- 社会心理学
- 政治学
- 文化人類学
代表的なテーマ
- 組織構造
- 組織設計
- 組織変動
- 組織文化
- 組織環境
チームとグループで異なる4つの観点
組織行動学の権威である
アメリカのスティーブン・P・ロビンス氏は、
『組織行動のマネジメント』という本の中で、
チームについて、グループと異なる4つの観点で定義しました。
-
集団目標
-
相互影響
-
説明責任
-
メンバーの能力
集団目標(Goal)ゴール
まず1つ目は、【目標に対する認識】の違いです。
グループでは、
所属するメンバーは、グループ目標は、
別にあってもなくてもどっちでもいいと考えます。
つまり、グループ目標に執着がありません。
それに対し、
チームでは、
所属するメンバーは、チーム目標を、
自分たちの目標だという主体的意識が働き、
チーム目標の達成意欲と執着があります。
つまり、チームとグループの違いは、
主体的に目標を描いているか、そうでないかと言えます。
チームとしての主体性があるので、
自分たちで責任持って、
チームが目標に向かい、一つになってゆく。
明らかなチームの要素と言えます。
相互影響(Synagy)シナジー
次に、【相互影響】の有無の違いです。
相互に何も影響を及ぼさない、
関係性がないのが、グループです。
メンバーに興味もなく、
干渉も起きません。
メンバーのことを知らない、わからないなど、
集まったばかりのグループによくみられます。
それに対し、
チームになると、
メンバー間の関係性も濃く、よく知っています。
その上でお互いを認め合い、尊重しあい、
チームのために、助け合う集団となります。
シナジー効果という言葉にあるように、
メンバー間で「相互作用」が起きる。
そして、
協力に、働くという字の「協働」が起きる。
これも明らかなチームの要素と言えます。
説明責任(Accountabillity)
3つ目は、【説明責任】の所在の違いです。
【説明責任】とは、責任の所在を指します。
グループでは、
問題や成果が出た時の、
個人の行動責任を第一に尊重されます。
チームでは、
チームの目標は、チームで解決するという認識があり、
チームとしての主体性があります。
つまり、チームとして
責任持って行動をしていると言えます。
メンバーの能力(Skills)
最後は、【メンバーの能力】の違いです。
メンバーの能力が、
チームとして機能する力の要素なのかということです。
例を通して、
理解を深めていきましょう。
例えば、野球がしたいから、
9名集めるとします。
9名全員が仮に、
キャッチャースキルのみだと
試合は成立しますが、
チームとして機能しないのは明らかです。
例え全員が、
プロ級のキャッチャースキルだったとしてもです。
こういう観点でみると、グループといえます。
それぞれのポジションの選手が揃ってきて、
チームらしくなったといえます。
つまり、
チームとグループのメンバーの能力の違いとは、
チームとして、最適な要素の構成かどうかといえます。
カッツェンバックのチームの定義
同じく、組織行動研究者の
カッツェンバックは、
チームとは、
ある特定の目的のために多様な人材が集まり、 協同を通じて、相乗効果を生み出す少人数の集合体。
と定義しました。
相乗効果の乗とは、かけ算です。
一人では解決できないことを、
それぞれの力を持ち寄って、
掛け合わせることで、解決していく。
裏を返せば、
グループでの効果とは、
足し算の加を加えた、相加効果といえます。
まとめ
組織行動学において、
アメリカのスティーブン・P・ロビンス
チームとは、
-
チーム目標がある
-
相互影響が起きている
-
チーム全体での責任意識がある
-
目標達成に必要なスキルで構成されている
カッツェンバック
チームとは、
ある特定の目的のために多様な人材が集まり、 協同を通じて、相乗効果を生み出す少人数の集合体。
今日も素晴らしいチームビルディングを!
最適に機能するチームを!