どんな困難を乗り越える人に「必ず共通する習性」があると言われています。

それは、、、
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と自分を励ます、
「ポジティブな心のつぶやき」です。

人は、毎分頭の中で、
300~1,000語のことばを呟いていると言われていますが、

そのことばの中には、
「きっとできる」ポジティブな言葉と、
「ああ、もう我慢できない」ネガティブな言葉が存在します。

また、前向きな言葉は、
私たちの精神的な強さややり抜く力に、
大きなプラスの影響をもたらすことは、様々な心理学の研究で分かっています。

アメリカの心理学者マーチン・セリグマン教授は、
説明スタイルというものを、
悲観的なものから楽観的なものに変えるだけで、
気分が楽になり、グリット(やり抜く力)が増すと述べました。

ということで、、、今回は、
「徹底比較! 楽観主義vs悲観主義」というテーマで、
楽観的な説明スタイルについて、解説していきます。

セリグマンの研究

挫折、失敗、病気、怪我、失恋、死など。
程度の差はあれど、これまでいろんな経験あると思います。

これらの不幸な出来事があったときに、
立ち直れる人と立ち直れない人の違いは、なぜか?

アメリカ心理学会の会長も務めたセリグマン教授は、
これを”説明スタイルの違い”だと言いました。

説明スタイルとは、
その出来事に対する解釈が楽観的か悲観的なスタイルかということです。

説明スタイルで見る営業員の業績研究

セリグマンは、生命保険会社の営業員を対象に、
楽観的な説明スタイルと悲観的な説明スタイルで、
営業員の成績に違いがあるかどうかを調べました。

教授らの調査によれば、

1年目の販売成績は、楽観的思考が強い営業員では悲観的思考が強い営業員に比べて29 %高く、
2年目になると、なんと130%と2倍以上の開きが出たそうです。

また、入社2年まで在職した者とそれまでに離職した者についてみると、

2年間の仕事継続者の67%は、楽観的思考の営業員で、
離職者の59%は悲観的思考の営業員だったそうです。

これは、楽観的・悲観的という説明スタイルの違いが、
実際の販売成績と仕事継続率に大きな差を生み出していることを、
示した興味深い研究事例として、残っています。

楽観度の高いチームの成果研究

また、これは個人ばかりはなく、集団にも当てはまります。

セリグマンは、
メジャーリーグの野球チームに関する
新聞に掲載された監督の試合後のインタビュー記事を分析して、
翌年のチーム成績を予測することができるか?と言う実験をしました。

ナショナルリーグの12チームの監督の説明スタイルを統計的に解析し、予測したんですね。

結果、
楽観度が高かったチームは、
1986年、前年より勝率が高く、
悲観度が高かったチームは、
前年より勝率が低くなったと言います。

また、
楽観度が高かったチームは、
翌年、通常のヒット数に比べ、プレッシャーのある状況でもヒット数を伸ばしたのに対し、
悲観度が高かったチームは、
翌年、プレッシャーの下でのヒット数が顕著に落ち込んだと言います。

さらに、
翌年1986年にも同様の分析を行い、選手の談話の楽観度からも、
翌87年の成績を予測できたそうです。

バスケットボールでも成績予測検証もできたという話もあります。

つまり、これらの検証で、
楽観的な説明スタイルは、成功を予言するとも言われています。

では、次にそれぞれの説明スタイルの違いについて、解説していきます。

楽観主義者と悲観主義者の説明スタイル

楽観主義者と悲観主義者では、世界の見方に天と地ほどの開きがあると言います。

これをセリグマンは、説明スタイルとよび、

  • 永続性(Permanence)
  • 普遍性(Pervasiveness)
  • 個人度(Personalization)

という3つのPという観点で、説明しています。

永続性(Permanence)

これは、不幸の原因がずっと続くものなのか、一時的なものか。ということです。

不幸なことが起こったとき、
楽観主義者は、一時的なことだと解釈します。
悲観主義者は、永遠にその状態が続くと解釈します。

例えば、
何かで失敗した時に、
楽観主義者は、「今日はたまたま調子が悪い」と解釈します。
悲観主義者は、「また私だ、、、(これからも続く)」と解釈するんです。

いいことが起こったときは、
楽観主義者は、「やっぱり続くね。いい調子♪」と永遠にその状態が続くと解釈し、
悲観主義者は、「今だけかもしれない(一時的なことだ)」と解釈すると言います。

普遍性(Pervasiveness)

これは、特定の理由でそうなったのか、全般的な理由かということです。

不幸なことが起こったとき、
楽観主義者は、特定の理由づけをします。「今回は、●●だったから」
悲観主義者は、いつもという理由づけです。「やっぱり、●●でもそうだ」

いいことが起こったときは、
楽観主義者は、普遍的な理由に解釈します。「やっぱりいつも、●●だね」
悲観主義者は、特定の理由づけをします。「今回は、●●だったから」

謙遜と紙一重とも取れますね、、、。

これは、何かで失敗した時に、
楽観主義者は、別の分野、例えば仕事や趣味などに目を向けることができますが、
悲観主義者は、別の分野でも駄目だと思い込んでクヨクヨする姿などにみられます。

個人度(Personalization)

これは、自分のせいか、他人(環境)のせいかです。

不幸なことが起こったとき、
楽観主義者は、他人や環境のせいにしがちです。
悲観主義者は、自分のせいにし自分を責めます。

いいことが起こったとき、
楽観主義者は、自分のおかげとし、自分を褒めます。
悲観主義者は、他人や環境のおかげと考えます。

まとめ

楽観度の高い説明スタイルをするチームは、成果が上がる

これは、
スポーツでの場面が不規則に変わる競技性であればあるほど、成果も安定します。
状況が不規則に変わる中でもチャレンジを続けれるか、、、行動を続けるか、、、。

余談ですが、楽観度の高い説明スタイルに適した役職が紹介されています。
  • セールス
  • 仲介業
  • 広報役者など人前に出る仕事
  • クリエイティブな仕事
  • 政治家

そして、、、

  • スポーツ選手
  • 競争の激しい仕事
  • 燃え尽きる率の高い仕事

説明スタイルチェック

悲観主義者

  • 悪いことはこれからも長く続くが、永続する(私はこれを終わらせることができない)
  • 悪いことは普遍的で、あらゆることに作用する(この人たちの全てが信じられrない)
  • 悪いことは自分の落ち度だ(私はこれが苦手だ)

楽観主義者

  • 悪いことは一時的なものだ(たまに起こるか、大したことではない)
  • 悪いことは特異的な原因があり、普遍的なものではない(天気が良くなれば解決する)
  • 悪いことは自分の落ち度ではない(私は本来これが上手で今日はたまたまうまくいかなかった)

この説明スタイルチェックをもとに、使い分けることができると、
様々な状況変化にも即時に対応でき、最適な行動を積み重ねることができます。

あなたのチームづくりのヒントになればと思います。